| 事務所報 | 発行日 :令和8年8月 発行NO:No57 発行:バリュープラスグループ |
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【1】民法の家族に関する制度が変更されました~令和8年4月1日施行改正家族法について~
文責:弁護士・弁理士 溝上 哲也
1.はじめに
「子の利益」の確保を目的として、離婚後にも「共同親権」を選択できるようにし、子の養育に関する親の責務を明確化した民法などの改正法が令和8年4月1日に施行されました。 今回の改正により、離婚後の「共同親権」のみならず、養育費を確実に受け取るための新ルールもスタートしていますので、重要な法改正のポイントを実際の法律の条文を交えて分かりやすく解説します。
2.離婚後に「共同親権」の選択が可能に
これまでは、離婚するとどちらか一方の親しか親権を持てない「単独親権」のみでしたが、改正後は、話し合いによって、「単独親権」のみならず、「共同親権」を選ぶことが可能になりました。
また、協議離婚に際して、改正前は、子の親権者を定めないと離婚届が受理されませんでしたが、改正後は、親権者指定の調停または審判の申立てをしている場合は、協議離婚届が受理されることになりました。
【改正後の民法 第819条1項】
「父母が協議上の離婚をするときは、その協議で、その双方又は一方を親権者と定める。」
ところで、父母の間で話し合いがまとまらない場合は、どうなるのでしょうか?
その場合、離婚自体に争いがある場合と同様に、家庭裁判所がどちらの「単独親権」か「共同親権」かを判断します。
もっとも、DV(家庭内暴力)や児童虐待のおそれがある場合は、子どもの安全を守るために、裁判所は必ず「単独親権」と定めなければならないとされています。
【改正後の民法 第819条7項】
「家庭裁判所は、前二項の規定による定め(裁判所が親権者を定めること)をする場合において、父母の一方が他の一方から身体に危害を加える行為を受けるおそれがあることその他の事情により父母が共同して親権を行うことが困難であると認めるときは、父母の一方を親権者と定めなければならない。」
3.「法定養育費」制度が始まりました
離婚時に養育費の金額などを取り決めないまま別れてしまうケースが多く、子どもの貧困が問題になっていたことから、取り決めがなくても最低限の養育費を法律に基づいて相手に請求できる「法定養育費」という制度が創設されました。
この制度によって、離婚時に相手と連絡が取れなくなったり話し合いを拒否されたりしても、離婚した日にさかのぼって養育費を請求できます。
請求できるのは、現状では、養育費の定めをせずに父母が協議離婚した場合で、離婚時から引続き子の監護を主として行う一方から他方に対し、子供一人当たり月額2万円の金額を請求できるとされています。
【改正後の民法 第766条の3第1項】
「父母が協議上の離婚をした場合において、子の監護に要する費用の分担についての定めがないときは、子の監護を主として行う父又は母は、他の一方に対し、子の監護に要する費用として法務省令で定める額の支払を請求することができる。」
4.「子どもの気持ち」と人格を尊重することが明記
今回の法改正では、親の権利だけでなく、「子どもを育てる義務」についても法律に新しく明記されました。
父母は、婚姻の有無や親権の有無に関わらず、子どもの人格を尊重し、意見を聞いて、子が心身ともに健全に発達するよう養育することが求められます。
【改正後の民法 第817条の2第1項】
「父母は、その婚姻関係の有無にかかわらず、子が心身ともに健全に発達するように、その特性に配慮しつつ、子を養育する責務を負う。
この場合においては、子の意見に耳を傾け、その意見を適切な形で尊重することを含め、子の人格を尊重しなければならない。」
5.弊所における対応
今回の改正は、これまでのような「離婚したら子どもとは他人」というような対応を是認せず、「離婚しても、父母の協力体制を子どものために残せるようにする」ための制度の変更といえます。
さらに詳しく知りたいポイントや、具体的な手続き(すでに離婚している場合の対応など)があれば、是非、弊所に相談されることをご検討ください。
弊所の相談等を利用される方は、お問い合わせフォームにご記入の上、ご連絡くださるようお願いします。折り返し、弊所からご指定の方法でご連絡させて頂きます。
(R8.8作成: 弁護士・弁理士 溝上 哲也)


