事務所報 発行日 :令和7年8月
発行NO:No55
発行:バリュープラスグループ
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【4】コラム 国内審査期間について

 特・意・商の出願等の動向および審査期間(短縮の取り組み)について特許行政年次報告書2025年版が公表されていますので、以下にまとめます。
 (http//www.jpo.go.jp/resources/report/nenji/2025/matome.html)

 

〇出願・登録件数の動向(2024年度)  
 ・特許出願件数:306,855件(前年比3.6%増)  
 ・意匠登録出願件数:32,065件(前年より増加)  
 ・商標登録出願件数:158,792件(前年より減少)

〇登録率・査定率
 ・特許登録率(2019年出願分):60.7%(増加傾向)
 ・意匠登録査定率:89.4%(前年より増加)
 ・商標登録査定率:88.4%(前年より増加)

〇審査期間の短縮
 ・特許のFA期間(一次審査通知まで):9.1か月(前年より短縮)
 ・特許のTP期間(権利化まで):13.0か月(前年より短縮)
  ※FA期間:出願から最初の審査結果(特許査定または拒絶理由通知)が通知されるまでの期間
  ※TP期間:出願から特許査定までの応答・補正を含む全体の期間

 

☆特許早期審査制度の活用
特許早期審査制度は、以下の一定の条件を満たす出願に対して、出願審査請求後、通常よりも早く審査を開始する制度で平均10か月以上かかるFA期間を約2~3か月、TP期間を約4~5か月に短縮できる可能性があります。なお、さらに特殊条件を満たす場合はスーパー早期審査という制度の適用も可能です。
(https://www.jpo.go.jp/system/patent/shinsa/soki/v3souki.html)
 ・実施関連出願
  発明をすでに実施している、または2年以内に実施予定
 ・外国関連出願
  同一発明を外国にも出願している(PCT含む)
 ・中小企業・個人・大学等
  資本金3億円以下、従業員300人以下など
 ・グリーン関連出願
  環境保全・省エネ技術など
 ・震災復興支援関連出願
  被災地域の企業・個人による出願
 ・アジア拠点化推進法関連出願
  特定事業所の開設計画がある企業など

・意匠早期審査制度は、以下の一定の条件を満たす意匠登録出願に対して、通常よりも早く審査を開始する制度で、審査着手までが約1.5~2か月、FA期間が約3か月以内、TP期間が約4~5か月に短縮される可能性があります。また、2025年4月1日からは、スタートアップによる出願も対象に加わっています。
(https://www.jpo.go.jp/system/patent/shinsa/soki/v3souki.html)
 ・権利化に緊急性がある実施関連出願
  第三者による模倣、警告、実施許諾の要求などがある場合
 ・スタートアップによる実施関連出願
  設立10年以内・従業員数20人以下などの条件を満たす企業による出願
 ・外国関連出願
  日本以外の特許庁にも同一意匠を出願している場合

 

<日本商標の審査期間(分野別の目安)>

特許庁の最新運用状況に基づく、区分別(分野別)の「審査着手まで」の平均期間は以下の通りです。
(https://www.jpo.go.jp/system/trademark/shinsa/status/cyakusyu.html)
 ※審査着手は、出願商標に対する、審査開始タイミングを指します(出願人には通知されません)。
 ※区分によって出願件数や審査官の専門体制が異なるため、着手までの期間に差があります。
 ※特に食品・機械・産業役務分野は比較的早めに着手される傾向があります。
第1~5類
  化学分野     出願後約6~8か月
第6~13類・第19類
  機械分野     出願後約5~7か月
第14~18類・第20~28類・第34類
  雑貨/繊維分野  出願後約6~8か月
第29~33類
  食品分野     出願後約5~7か月
第35~40類
  産業役務分野   出願後約5~7か月
第41~45類
  一般役務分野   出願後約6~8か月

 

☆商標早期審査制度の活用

・商標早期審査制度は、下記①-③の一定の要件を満たす出願に対して、通常よりも早く審査を開始する制度です。使用実績がある商標や、ライフサイクルが短い商品・役務に関しては、早期審査制度を利用することで 審査着手までが出願後約1.5~2か月 に短縮されるケースもあります。
(https://www.jpo.go.jp/system/trademark/shinsa/soki/shkouhou.html)
 対象①
  商標をすでに使用していて、かつ権利化に緊急性がある場合 (例:第三者による無断使用、警告を受けた等)
 対象②
  商標を使用している商品・役務「のみ」を指定している場合
 対象③
  商標を一部使用していて、指定商品・役務が「類似商品・役務審査基準」等に掲載されている場合

〇 第1類~第45類の商標区分およびマドプロ国際出願におけるFA・TP期間の目安(令和7年時点)
続いて、令和7年(2025年)時点で特許庁が公表している資料や審査官の運用状況をもとに、各区分の審査期間を分野別に整理すると以下のようになります。
 ※(FA)=FA期間:出願から最初の審査結果(登録査定または拒絶理由通知)が通知されるまでの期間
 ※(TP)=TP期間:出願から登録までの応答・補正を含む全体の期間
第1~5類
  化学分野     (FA)約6~7.5か月  (TP)約7.5~9か月
第6~13類・第19類
  機械分野     (FA)約5.5~6.5か月 (TP)約7~8.5か月
第14~18類・第20~28類・第34類
  雑貨/繊維分野  (FA)約6~7.5か月  (TP)約7.5~9か月
第29~33類
  食品分野     (FA)約5.5~6.5か月 (TP)約7~8.5か月
第35~40類
  産業役務分野   (FA)約5.5~6.5か月 (TP)約7~8.5か月
第41~45類
  一般役務分野   (FA)約6~7.5か月  (TP)約7.5~9か月
国際商標登録出願(マドプロ)
  国際出願     (FA)約7~8か月   (TP)約8~9.5か月

(令和7年8月作成: 特許商標部 Mtake)


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