事務所報 発行日 :令和4年1月
発行NO:No48
発行:バリュープラスグループ
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【3】記事のコーナー:特許の出願及び登録件数の動向について

文責:特許商標グループ  竹内 幹晴

世界の特許出願及び登録件数

 世界の特許「出願」件数は、2010年に199.7万件であったのが、2019年には322.4万件となり、この10年間で1.61倍に増加しました。この特許出願件数の増加は、中国の出願人による中国(中国国家知識財産局に対する)特許出願件数の増加によるものとされています。なお、出願件数は、前記中国に次いで、米国(米国特許商標庁に対する出願)、日本(日本国特許庁に対する出願)、の順に多かったようです。世界の特許出願件数の増加に伴い、世界の特許「登録」件数は、2010年には91.5万件であったのが、この10年間で1.64倍に増加し、2019年には150.1万件となりました。2019年の世界の特許登録件数を出願人の居住国別に見ると、第1位が中国の43.0万件(内国登録83%、外国登録17%)、第2位が米国の31.0万件(内国登録53%、外国登録47%)、第3位が日本の28.4万件(内国登録49%、外国登録51%)となっています。特筆すべきは、中国の登録は内国に向けてであって、第2位の米国、第3位の日本に比べて自国内登録に偏った傾向にあることがわかります。これは個人的には自国内の経済を他国に荒らされないよう自衛するためだと思っています。一方、日本の出願人(企業)は、中国とは異なり、米国と同様に、自国内外バランスよく知財活動を行っています。これは個人的には技術を売り物として外国でビジネスを展開しようとする姿勢の現れと思っています。

日本の出願人の外国への知財活動傾向は、国内出願に関しては2011年以降30万件超えを維持しつつも右肩下がりの減少傾向でついに2020には30万件を下回り、その逆にPCT国際出願に関してはややいびつながら概ね右肩上がりで増加傾向にあることからもうかがえます。

 

参照:https://www.jpo.go.jp/resources/report/nenji/2021/document/index/honpen0101.pdf

 

国際出願増加の背景について

 このように世界の特許出願が増加している背景には、世界の経済規模が拡大していることと、各国企業の活動が一層グローバル化したこと、PCT国際出願のメリットについて認識が高まってきたことなどがあると考えられます。世界的な新型コロナの蔓延により、一部の分野や地域で出願件数に影響が出る懸念はありますが、この傾向は今後も続くと考えられます。

 当事務所においては、トップ10の各国はもとより、インド、ブラジル、湾岸諸国、ベトナムなどへの国際出願に対応し、それぞれの国に提携の事務所がありますので、どのような案件においても、ご遠慮なくご相談ください。

(令和4年1月1日)


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